困った事ほど助かる道(5

 

 拘置所に入っている間にね、福井の裁判所の焼き討ち事件の真犯人が出たんです。

闇取引と思いますけれども、自分のやった悪いことの書類が裁判所に送検されていると思って、裁判所を焼いたんですね。ところがそこじゃなくって駐在所にまず書類があって、駐在所もまた焼いた。同じ手口ですから、分かっちゃった。

 

ただ、真犯人は見つかりましたけれども、当局としてはですね、こういう人たちですから、叩けばなんぼでもホコリがある。いくらでもありますから、罪状が作れるわけです。そういう七人が挙げられて、上の幹部から七人挙げられて、その青年さん一人が道に抜けたということで無罪にしていただけた。

お道というのは素晴らしい働きをいたしますね。刑務所においていただいたときの保釈金が返ってくるわけです。そのことも私は忘れられない。

もうお金が喉から手が出るくらい欲しいんですよね。働き盛りの息子さんは教会に入っている。親夫婦に妹さんといったってまだ小さい。その辺りはみんな農家で、たいへんな沢山の田んぼを持っていた。コシヒカリの産地でしょう。お米がいちばん大きな収入源ですから、そういうところで教会に入れていただいて、手銭手弁当で勤めさせていただき、家族も代わりあってお教会に祭典の前後は運ばせていただいて、ひのきしんをさせていただいて通らせていただいたわけでございますけれど、お金が返ってきました。相当の額でしたねえ。

結局、そのお金の問題。このお金をどうするか、これをどう使っていくかということ。因縁にならないように、また同じようなことを繰り返さないように通るにはどうしたらいいかということですね。

私は、「ご普請が始まっているちょうどいい時だから、良いところに使わせてもらってください。けれども、お宅の現在の内情を私もよく存じております。本来なら全額お供えをしていただきたいと思うけれども、まあそれはちょっと無理と思いますから、半分神様にお供えしてください。半分を頂いて、教会へ運ばせていただく旅費、神様の御用、そうして人間のことには使わないように通っていただきたい。お願いします」と申し上げましたところ、ご家族も聞いてくださいました。

でも、とりあえず、教会に持ってきてくださいました全額を会長様のところに持たせていただき、「会長様」と、こう差し上げました。

そうしましたら、会長様は、私の見ている前で、半分にピターッとこう分けられて、「半分これは僕がもらうよ、普請に使わせてもらうよ」とおっしゃった。半分を何度も何度も手の中にこう入れられて、お願いをしてくださいました。そして、「さあ渡しておやり、もう大丈夫だよ。因縁にはならないから、安心して使いなさい」と言ってお返しをくださいました。

けれども、なお私はご家族に重ねて申し上げた。「失礼ですけれども、これは警察から戻ってきたお金。また再び家族の中に、先へいって警察のお世話になるようなことにならないように、一旦は頂戴いたしますが、何年かかってもいい、何十年かかってもいい、お供えというかたちでお返しをください」こう申し上げた。

 

その後、私は詳しくは伺いませんけれども、成ってきた理をみせていただくところに、年限をかけて、お供えというかたちで、お借りしたものはお返しをいただいたと私は信じております。

高校もろくに出ていない、昔はヤクザであった人間が、生まれ故郷に戻って、また、たまたま自分の町内に、盃を割ってもう赤の他人、親分でも子分でもない、挨拶はいらないと言ってくださった親分さんが住まいを持っておられたそうですけど、おっしゃったとおり、この青年の足を引っ張ることは生涯ございませんでした。ですから、他の者たちが手出しはできなかった。

もう大概、そういう中からよしんば抜けられたとしても、良くなればなったで、悪くなればなったで、必ず足を引っ張られて、その中にまた入っていくというのが、まあまあご定法ですね。

けれども、お道の信仰は、誠にありがたいものでございます。

初代の会長様の万分の一の真似事の信仰をさせていただいただけで、その中を抜けさせていただくことができた。手出しをされなかった。子分衆も手出しができなかった。そうして、この化粧品の北陸三県のやがて総代理店になっていったのでございます。

 

ですから、十年間、刑務所へ入って服役しても十年、そう思って教会においていただいて十年間、できてもできなくっても、ふせ込ませていただいた理というものは、素晴らしいはたらきを、年限が経つほど先へいくほど神様から頂戴することになっていくのでございます。

 

あるときお母さんが、「先生、しばらく喘息が出ませんでしたけれど、またこのほど出まして苦しいです。何の理でございましょう?」とお尋ねをいただきました。

来たなと私は思いましたけれども、これは会長様に理をいただくほうが良いと思いまして、会長様にお伺いいたしますと、

会長様は、「今、僕は、お前さんの息子をこのひのきしんに使っている。僕はね、ただ人からものを貰うのは大嫌い。このお返しは必ず家に返してあげるよ」とおっしゃった。

「社会で働く以上のはたらきを、これからお前の家に、家に返してあげるよ」こういうふうにね、会長様はおっしゃってくださった。

 

本当におっしゃるとおりですね。

そうしてその秋のこと、福井一円を台風が襲いました。

米どころでございますけれども、どこの農家でも一粒の米もとれなかった。

にもかかわらず、ここのお宅は、会長様におっしゃっていただいたとおり、平年作のご守護をいただきました。

 

 

(5)以上

 

 

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