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因縁に目覚めた事件(後編)  

 

このごろ、布教所のお庭の中にございます初代会長様の記念碑にお参拝をさせていただきますと、やぶうぐいすがケキョケキョホーホケキョウとそれはいい声で鳴くのです。

「いい声ね、ありがとう」と褒めてあげると一段といい声で、おまけに二声、三声と鳴いてくれます。鳥でさえも褒めてあげると喜んで二声、三声と鳴いてくれる、ましてや人間誰でも褒められて嬉しくない人はいないでしょう。

ところがこのお道の信仰は世界とまったく裏腹と聞かせていただいて、「褒められたら、とんとんや。良い事をしてけなされて喜べ。余計なことをするなと小言を言われたら申し訳ございませんと頭を下げよ。ああこうと言い訳はいらん。本当に自分が誠真実でさせていただいたかどうかは神様と自分が知っている。誰も知らなくても、人から礼を言われなくとも、神様が知っておられたらそれでいいではないか」とある時、初代会長様から教えていただいたことがありました。

 

さて、前編で私の母がご近所の主人に殺されるところであったが未遂に終わり、九死に一生を得たお話をさせていただきました。

では、会長様からいただいた尊いおさとしをこれからお話させていただきます。

 

初代会長様がおっしゃいますには、「危害を加えた相手を断じて罪に落としてはいけないよ。こちらの方から裁判は取り下げて、示談で話し合いのもとに相手を無罪にさせていただきなさい。殺すほうにも因縁あり、また殺されるほうにも因縁あり、因縁は五分と五分、どちらも同じ因縁だよ。世間では、加害者のことをあんな悪いやつはないと言うてけなします。そして、被害者を誠に気の毒な人だと同情をいたします。道を通らせていただくものは、世間の同情に甘んじて心を許していてはいけない」と仰せくださいました。

さすれば私どもは、殺されなければならない因縁をこれからどうやって通ったら消すことができるのでしょう。またそんな恐ろしい因縁を持っていたら、先々何をやっても助かってまいりません。

初代会長様は、人間考えでは決して通れない道を実行に移すことを教えてくださいました。先に書かせていただいた事に加えて、「先方から一円のお金もいただいてはいけないよ。また相手さんが戻ってきたなら、今までと変わらず、むしろなお一層こちらから先に声を掛けてゆくのだよ。そこには憎らしいとか、口惜しいとか、恐ろしいとか、何故そんなにまでしなければいけないのかという人間の気分を微塵も心に思ってはいけないよ」と仰せくださいました。

 

お話は変わりますが、私は父亡き後は我が家の働き頭でございました。女ながらも当時高給をいただいており、家はけっこうにお連れ通りいただいておりました。だんだんのお話の中にお道の信仰も理解できるようになりまして、ぼつぼつお教会に入り込みをさせていただく旬ではないかと思うようになりました。私はお道は嫌いではございませんでしたが、ただ唯一の事柄が気掛かりで心を決しかねておりましたところ、初代会長様のお心に理がうつったのでございましょう。ある日、役員さんをおたすけにおよこしくださいまして、「お前さん一人を教会に入り込みをさせて、後々家族を路頭に迷わせるような、私はそんな徳のない教師ではないよ。後は確かに引き受けた。お前さんは安心して教会に入っておいで」と、終生忘れようとしても忘れることのできない身に余る尊いお言葉をいただきました。

もう迷うことはない、よし決めた―

こうして私は昭和二十二年八月十三日に入り込み願いをさせていただいて、お教会に入れていただいたのでございます。時に、二十六歳の夏のことでございました。光陰は矢の如しと申します。誠に月日の経つのは早いものでして、時空を超えて駆け抜けてまいりまして、ふと立ち止まれば、なんと五十五年の歳月が経ち、私も八十六歳を数える年限となりました。

一家が散り散りばらばらになって皆さん死に絶えてしまうような深い因縁の者を、今は何とか通れるが先の通るに通れないこの因縁を、何とかして助けてあげようとして「僕も好きなものは全部神様にお供えさせていただいて、道一筋にならせていただいて今日がある。お前さんも万分の一の真似をさせていただきなさい」と厳しく教えてくださりお連れ通りくださったのでございます。最後に初代会長様は「誰の言うことも聞かなくてよい。神様と僕の言うことをしっかり聞いて、聞いたら命懸けで通りなさい。私の教えてあげたことを一つでも守って通らないと、先へいって忘れた頃に家の中で親子夫婦兄弟が血で血を洗う刑事問題を起こす」と仰せくださいました。

母はできてもできなくとも、通れても通れなくとも、通る努力をそれは命懸けで通らせていただいたのでございます。

 

本当に会長様の言われた通り、事件から十年が経ちました時に、おたすけ先で、遠藤家の中で起きるはずであった因縁をお見せいただきました。つまり、おたすけをさせていただく因縁で、見事に難場を抜けさせていただくことができたのでございます。

ある日、前から熱心に信仰をしておられたご婦人の甥が、酒の上から伯父さんと口論になり、相手の額をげんこつで殴りまして、打ち所が悪かったために、二時間ほどして伯父さんが出直しをするという、それはそれは大変なことが起きてしまいました。

村中が大騒ぎとなりまして、村の人達は、若いことだし、初犯だから何とかして罪を軽くしてもらおうと嘆願書を出してくださる。母は「人間でああこう心配しても何ともならん。さあ、教会へ行きましょう。会長様にお願いしましょう」と言うて、そのご婦人さんと二人で直ぐさま名古屋のお教会へ飛んだのでございます。幸いにも、会長様にお目にかかることができまして、おさとしを早速いただくことができました。「この度の事は、本人にも信仰がない、また親にも信仰がないけれども、中に入ってくれた遠藤ハルさん、お前さんの誠真実に免じて、僕は助けてあげよう。大丈夫だよ。必ず神様とこの僕が無罪にしてあげるよ」という誠にありがたいお言葉を頂戴したのでございます。

そして誠に不思議なことに、理を頂戴いたしましてから会長様のおっしゃっていただいたところに順序をいただきまして、裁判は執行猶予三年ということで、保釈金を積んで戻されてまいりました。そして三年の間何事もなかったので、晴れて無罪となって、本当に神様、会長様のお徳できれいな体にしていただきました。

 

ただし、法的には許されても、道義的には許されるものではありませんので、親戚一同が寄って、相談をいたしました。そして、母は、今その相談をしているから来てくれということで、おたすけに出させていただきました。皆さんが決めた事は、陽の当たらない、米もろくに採れないような、そこの家であってもなくてもいいような土地を売って、伯父さんのお家にお詫びをしようというものでした。母は「とんでもないことです。先方は大切な大黒柱を殺されたのですよ。こちらも心から申し訳ないという、誠真実を受け取っていただかねばなりません。それには一番大切な土地を売って、その代金は一円も身に付けてはいけませんよ。むしろ足りないところは足させていただいて、いずれ税金も掛かってきますが、それも身銭を切ってお納めしてください。とにもかくにも一円のお金も身に付けたり、家の中に入れてはいけない」と申しました。

皆さんが母の勢いに押されて、そこに一致いたしまして、言われた通り、先方に土地を売ったお金をお詫びのしるしとして納めさせていただいたのでございます。

こうしてまた十年が経ちました。今度はお詫びのしるしとしてお金を受け取られた家にとんでもない事が起きたのです。それは、先方さんの長男さんは電気工事屋さんでしたが、その工事中にあやまって、200ボルトという高圧線に接触いたしまして、高い所から真っ逆さまに感電死をして落ちまして、即死をいたしました。先方さんには信仰もありませんからお金はいただいて当たり前、まだ足りないという気持ちであったと思います。本当に道があるないに関わらず、会長様が言われる通り、殺す方も殺される方も因縁は同じ五分と五分であるということをよくよく承知をさせていただいたわけでございます。

 

お道を聞かせていただいて助かってゆく道は、道を曲がりなりにも通らせていただいて、日常生活の中に実行に移してゆくことでございます。聞いて知っているから、信仰しているから大丈夫というそんな上っ調子のものではありません。初代会長様は、私どもに長数年に渡って助かる信仰を教えてくださいました。その助かる道とは、天理天則に合わせてまったく間違いのない道を通らせていただくことでございます。聞いたから、知っているからいいのではない。聞かせていただいたことを命にかえて守らせていただくことでございます。「お前さん殺すぞと言われても、守って通って殺されるなら本望やとして覚悟の信仰をさせていただくところに神様はあるよ。そういう誠の者を神様は断じて殺さないよ」とお聞かせくださいました。昔、奥でのおつとめから、これから神殿にいよいよ出させていただくという時に、会長様から「これからは僕の話をするのだよ。いくら頭がいいからというて自分の考えを話してはいけないよ。わかったかえ」というお言葉をいただきました。今日までこのお約束を曲がりなりにも守らせていただいてまいりました。これから先の残された人生も、変わらずこの会長様とのお約束を守って通らせていただく覚悟でございます。

 

はからずも今日は初代会長様の祥月御命日でございます。この理のある日にお話を聞いていただいて本当に嬉しくありがたく思わせていただきます。また七月にはお目にかかりましょう。

六月二十二日

 

 

 

 

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